【宮城県】古物商許可取得後に注意すべき点について

宮城県内で古物商を営むに当たり、古物営業法では古物商が遵守しなければならない事項を定めております。これらの事項を遵守しない場合には行政処分又は刑事罰の対象となる場合がありますのでご注意ください。

以下、主な遵守事項をまとめましたので参考にしていただければ幸いです。 

【変更の届出】
➀主たる営業所又はその他の営業所の別、営業所の名称又は所在地が変更
→主たる営業所又はその他の営業所の別、営業所の名称又は所在地が変更となる場合には、当該変更予定日の3日前までに、主たる営業所又はその他の営業所を管轄する警察署に変更届出書を提出しなければなりません。
※事前の届出であることに注意しなければなりません。

②上記以外の変更
→以下の事項に変更が生じた時は、当該変更の日から14日(登記簿に関する場合は20日)以内に主たる営業所又はその他の営業所を管轄する警察署に変更届出書及び必要な添付書類を提出しなければなりません。
・氏名、名称、住所、所在地
・法人の代表者の氏名又は住所
・営業所ごとに取り扱おうとする古物に係る国家公安委員会規則で定める区分
・管理者の氏名又は住所
・行商をしようとする者であるかどうかの別
・法人の役員の氏名又は住所
・ホームページ利用取引をしようとする者であるかどうかの別
・URL

③営業所を新設する場合
〇営業所を新設する場合には、新設予定日の3日前までに新設する営業所の名称及び所在地に関する届出を行います。
〇営業所を設置した日から14日以内に管理者を選任した旨の届出を行います。

④書換え申請
→古物商許可証の記載事項である「氏名若しくは名称、又は、住所若しくは所在地」「法人の代表者の氏名又は住所」「行商をしようとする者であるかどうかの別」に変更があった場合には古物商許可証の書換えをしなければなりません。


【許可証の返納】
次に掲げる事項のいずれかに該当することになった時は許可証を返納しなければなりません。
➀古物営業を廃止したとき
②許可が取り消されたとき
③再交付を受けた場合において、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき
④許可証の交付を受けた者が死亡したとき
⑤許可証の交付を受けた法人が合併により消滅したとき

→手続きとしては返納理由書を書いて管轄の警察署に許可証を返納することになります。


【許可証等の携帯】
① 古物商は、行商をし又は競り売りをするときは、許可証を携帯していなければなりません。
② 代理人、使用人その他の従業員に行商をさせる時は、国家公安委員会で定める様式の行商従業員証を携帯させなければなりません。
③ 古物商又はその代理人等は、行商をする場合において、取引の相手方から許可証又は前項の行商従業員証の提示を求められた時にはこれを提示しなければなりません。
※行商とは、届け出た営業所以外の場所(相手方の住所、居所又は届け出た仮設店舗)での取引です。古物市場(オークション会場)等での取引も行商に該当します。

→行商を行う場合でも忘れずに携帯する必要があります。


【標識の提示】
① 古物商は、それぞれの営業所ごとに公衆の見やすい場所に、国家公安委員会で定める様式の標識を提示しなければなりません。またホームページを利用して古物の取引をしようとする時は、その取り扱う古物に関する事項とともに、その氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称及び許可証の番号をそのホームページに表示しなければなりません。
② 標識には許可公安委員会名及び許可番号、古物商の種類(主として取り扱う古物の区分)、許可を受けた者の名称又は氏名を記載する必要があります。

→標識の古物営業法施行規則に定められた様式である必要があります。自分で作っても良いですし、外注しても良いです。なお、宮城県の場合には警察署(宮城県防犯協会)に依頼することも可能です。


【管理者の選任】
① 古物商は、営業所ごとに当該営業所に係る業務を適正に実施するための責任者として管理者を一人選任しなければなりません。
② 管理者は、原則として兼任は認められません。
③ 管理者は、当該営業所に常勤しなければなりません。

→管理者が原則として兼任できないという点は知らない方も多いです。非常勤の管理者や遠隔地に居住する役員等がたまに顔を出す程度では認められないので注意してください。


【営業の制限】
➀古物商は、その営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所において買い受け、若しくは交換するため又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から古物を受け取ってはなりません。
②ただし、仮設店舗(即売会等)で古物営業を営む場合は、仮設店舗において古物営業を営む日から3日前までに日時、場所をその場所を管轄する警察署に提出したときは当該仮設店舗で古物営業を営むことができます。
③仮設店舗において古物営業を営む都道府県内に古物営業所を有しない古物商は仮設店舗の届出を、その営業所の所在地を管轄する警察署に提出することができます。


【確認及び申告】
➀確認の義務
古物商は、古物を売買等する時は次の方法で相手方の住所、氏名、職業及び年齢(以下「確認事項」という)を確認しなければなりません。

~確認の方法~(規則第15条)
●対面で取引を行う場合
・身分証明書、運転免許証、国民健康保険保険証等の提示を受ける
・ボールペン等で確認事項について署名を受ける

●インターネット取引等を行う場合
・確認事項の申告を受け、同人名義の印鑑登録証及び同証明書の印鑑を押印した書面を受領する。
・確認事項の申告を受け、同住所に本人限定受取の郵便等を送付し、その到達を確かめる。
確認事項の申告を受け、住民表の写し、住民票記載事項証明書、戸籍謄本若しくは抄本又は印鑑登録証明書の送付を受け、当該住所地に配達記録郵便等(転送されないものに限る)を送付し、その到達を確かめる。
・確認事項の申告を受け、住民票の写しの送付を受け、当該住民票の名義人の口座へ振り込み又は振替の方法で代金を支払うことを約する。
・インターネット取引において不正アクセスが困難な措置を講じていることを確かめる。

② 確認義務の免除
次の2つの場合については確認等の義務が免除されます。
●施工規則第16条
買取金額の総額が1万円未満である取引をする場合。
※ただし、
・自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他のは
ん用性の部分品を除く。)を含む)
・専ら家庭用コンピューターゲームに用いられるプラグラムを記録した物(CD、DVD等
形式を問わない)※いわゆるゲームソフト
・書籍

以上を買い取る場合は、例外的に取引金額が1万円未満であっても免除されません。

●自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合

③ 宮城県青少年健全育成条例による規制(条例第28条)
古物商は、その営業に関し青少年から物品を買い受け若しくは物品の委託を受け又は青少年と物品の交換をしてはなりません。ただし次の場合は適用しません。
・当該青少年が保護者の委託を受け又は同意を得たと認められるとき
・その他正当な理由がある時
→こちらは宮城県青少年健全育成条例に定められている規定です。

④ 申告の義務(第3項)
古物商は、古物を売買等する場合において、その古物が不正品である疑いがあると認めるときは直ちに警察官にその旨を申告しなければなりません。


【取引の記録義務】
古物商は、売買等したときは、その都度次に掲げる事項を帳簿等に記載し又は電磁的方法により記録しておかなければなりません。
・取引の年月日
・古物の品目及び数量
・古物の特徴
・相手方の住所、氏名、職業及び年齢
・相手方の確認のためにとった措置の方法

→いわゆる「古物台帳」です。様式に従っていれば手書きのものでも構いませんし、エクセルなどパソコンで作成しても構いません。


【帳簿等の備付け義務】
古物商は、帳簿等を最終の記録をした日から3年間営業所に備え付け、又は電磁的方法による記録を当該記録した日から3年間営業所において直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければなりません。
電磁的方法による記録の場合は例えば古物の取引を記録したデータ入りのハードディスク等の外部記録媒体を要求された際に直ちに記録をプリントアウトできるようにして保存しておかなければなりません。


【品触れ】
古物商は品触れを受けたときは、当該品触れに係る書面に到達の日付を記載しその日から6月間これを保存しなければなりません。また古物商は品触れを受けた日にその古物を所持していたとき、又は品触れの保存期間内に品触れに相当する古物を受け取ったときは、その旨を直ちに警察官に届け出なければなりません。
※品触れとは盗品等のことをいいます。


【差止め】
古物商が売買等した古物について、盗品等であると疑うに足りる相当な理由がある場合において、警察署本部長等は当該古物商に対し30日以内の期間を定めてその古物の保管を命ずることができます。


【立入り】
警察職員は、必要があると認める時は営業期間中において営業所等に立ち入り、古物及び帳簿等を検査し、関係者に質問することができます。

→営業実態の確認や盗品等の確認のために警察による立入調査がある場合があります。立入り調査が来ても大丈夫なように普段から帳簿等に関してしっかり管理する必要がありますね。

以上が古物商許可取得後に注意すべき点の代表例です。宮城県で古物営業許可申請をお考えの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

2021年12月22日